Kasabian / S.T.

アメリカ中心の今、イギリスは応戦しなければならない。(中略)俺達はイギリスの救世主になり、ロックン・ロールに風穴をあけてやるのさ。」と大口叩いてるわりに革新性や強烈なインパクトも、ジャケットの覆面男から想起される不穏な雰囲気や凶暴・凶悪なイメージもさほど感じず終い。・・・。音の説明をすると、いわゆる最近のPrimal Screamに代表されるようなデジタル・ビート満載のロック・サウンドで、それと共にアルバム全体から滲み出ているのは紛れもないブリット・ポップの香り。Voのねちっこい歌いまわしなんかも多分にUK的です。曲単位でいくと攻撃的なM-1「Club Foot」からOasisが歌っててもしっくりくるようなM-6「L.S.F. (Lost Souls Forever)」に、ラスト2曲「Ovary Stripe」「U Boat」で見せる叙情的なメロディ等々UKロックをフォーマットにバラエティ豊かな内容になっており、様々なところからUKロックのエキスを抽出してきたような作品かと。一聴しただけでガツンとくる内容ではないものの楽曲の質は高く、またデジタル音のサンプリングの仕方やインストの挟み方などに巧さとクレバーさを感じさせる出来となっております。・・・。ここでやっと気づきました。なるほどな、と。上のような大口叩くからてっきり真っ向から突っ込んでくるテロリストかと思いきや。闇に紛れて音もなく、裏口から忍び込んでクールに任務を遂行する暗殺部隊のような音楽性だったのですね彼らは。気づけばヤラれちゃってた的なノリ。来月ライヴ行ってきま〜す。
Recommen度:★★★★