トイレット

これちょっと行きたいかも。

http://www.nmao.go.jp/duchamp/Duchamp.html


僕が大学に入り立てのころ、受講していた授業の一つに「美学」がありました。
確かこの「美学」の第一回目の授業は多分大学の講義初日の2限目くらいにあり、大学入って初めての授業ということで興味深々で教室に入っていったことを覚えています。
定年間近の白髪の教授はのろのろと教壇に立つと、ボソボソとした声で、このマルセル・デュシャンの「泉」という作品について話し出したのです。


「え〜かのマルセル・デュシャンは、既製の便器を『泉』という題名で美術作品として展示会に出品しようとして拒否され・・・・・」


一年後、僕は同じ時間帯にコマのある「美学」の講義を再び受けることにしました。理由は、寝てても何してても出席さえ出来ていれば単位が転がり込んでくるからです。第一回目の授業の際、授業が始まり次第眠りに入ろうかなと怠惰な気持ちで教室に入っていったことを覚えています。
定年秒読みの白髪の教授はのろのろと教壇に立つと、ボソボソと話し出しました。


「え〜かのマルセル・デュシャンは、既製の便器を『泉』という題名で美術作品として展示会に出品しようとして拒否され・・・・・」


一緒やん!話の内容全く一緒やん!!


このとき僕はルーティンワークという言葉をそのまま体現している大人を目の当たりにしました。
というわけでやたらこのマルセル・デュシャンと「泉」だけは頭に残っててですね、最近電車のつり革広告見たら便器の山をバックに「マルセル・デュシャンと20世紀美術」 展 と書いてるもんですから。ちょっと行きたいかな、と。