ベストアルバム

さあ2009年のベストアルバムでも発表しましょうかね。

今年は実際22枚(The Fieldの1stはよお考えたら去年リリースなので実質21枚か)しか2009年発売のアルバム聴いてないんでまぁ順不同で3枚ほどと次点で何枚かを選びましょうか。


For Long Tomorrow

For Long Tomorrow

はい来ました、インスト・ポスト・ロックの国内最高峰バンド(他の国内バンドあんま聴いたことないけどね)の新譜。
うーん12月発売で、12月中ヘヴィロテだったために年間ベストにランクインしたって気がしなくもないですが、しかし本当にtoeは高品質な作品を作ってきてくれますね。
RPGゲームで流れるような勇壮な音楽をしっとりと、でもダイナミックに生演奏したかのような音像は今回も健在。
ただ1stよりもEP、EPよりも2ndという風にどんどん好きになってます、僕。
前作より進化、進歩してるって雰囲気じゃないんで停滞してるなって感じる人はいると思いますが、アルバム全体の流れとしては1stよりもVoが入ってたりウタモノも増えてバランスがよくなった気がします。
そのため、飽きずに最後まで聴き通しやすい。
やっぱりこのジャジーなドラミングと爪弾かれるアコギの流麗な音色、その奥でうねるベースラインのセットが堪らないんですね。
個人的に特筆すべきは12曲目の「Our Next Movement」。
トライバルなリズムから始まり途中からサックスが吹き荒れるこの曲に新たなtoeの一面を観た気がします。
まさに“Our Next Movement”。


THIS IS MY SHIT

THIS IS MY SHIT

続いては80kidz
このアルバムもよく聴きました。
まぁしかし圧倒的にベタなメロディのテクノ・サウンドをあけすけというか何というか、次から次に畳み掛けられるともう降参ですよ。
ここ最近また、こんなゴリゴリが流行ってますけど、特に80kidzはメロディに馴染みやすいかなぁと思います。
彼らも多分80年代生まれで歌謡曲とかJ-POP隆盛期がちょうど物心ついて思春期に至るまでの多感な時期と重なるはずなんで、何かそういうバックグラウンドから滲み出てるような日本人の感性に合う音だと思います。
toeのゲームサウンドにも通じますが、何でしょう幼少期に触れた音ってのは無意識下にしっかりと刻み付けられて否応無く体が反応してしまうものでしょうかね。
僕の場合、間違いなくTM Networkの「Get Wild」を通じてこの80kidzが奏でるようなゴリゴリのエレクトロサウンドに出会ってて、その時大好きだったアニメの「City Hunter」と共に「Get Wild」も大好きで格好良いなって思ってたんで。
否応無くこの80kidzの音も大好きなわけなんですよ、きっと。


ハイファイ新書

ハイファイ新書

ほいでから相対性理論の「ハイファイ新書」。
いや実はというか案の定というか前作の「Loveずっきゅん」でずっきゅんとなったクチなんですがね。
遅ればせながら今年に入ってですが。
前作の躍動感のあるロックサウンドが主体の音に比べて、今作はよりポップな仕上がり。
ポップはポップでも、ハイクオリティ・インテリジェンス・ポップ。
やくしまるえつこが歌っているだけなら、ただの萌えソングなだけなんでしょうけど後ろの演奏が素晴らしいのです。
ここでこの音を入れるか〜、この展開に行くか〜、このフレーズ入れるか〜って思わずニヤけてしまうような曲構成。
別にバカテクを披露しているというわけではないんですがね、様々なな音を通過したであろう音楽マニアの連中が頭使って曲作っているんだなぁっていう音の組み立て方。
何かロックもジャズもボッサもエレクトロニカも一通り聴いてきた人が、色んな音のエッセンスを散りばめた落ち着いた音を作りましたって感じがします。
異論を唱える人も大勢いると思いますが、僕はこの作品を聴いているとAncient Greeksの音に通ずるなぁって感想をどうしても持ってしまうのです。
後はまぁ、なんつうの結局?ひろこの?声と言葉遊び的歌詞に?萌えに萌える?っつうの?
「地獄先生」の中の歌詞のように「ねぇ先生」ってあの声で囁かれたいです、ハイ。
※久々にこれ書いてる時にAncient Greeksの「The Song Is You」を聴きなおしましたが、ごめんやっぱAncient Greeksの方がレベル高いっすわ(笑)
 でも、相対性理論も素晴らしいっす。


お、今観るとベストアルバムは全部日本人アーティストだ。意外や意外。



後、次点のアルバムは・・・

Yesterday & Today (Dig)

Yesterday & Today (Dig)

はい、The Fieldさん。朝霧で見たかったー!!
ミニマルで若干ストイックではあるもの、ドリーミィで煌びやかな世界観のエレクトロニカ
これはライヴなりで体感すると白昼夢の世界に誘われそうです。
特に「Leave It」て曲が流麗すぎる。
2009年ベストトラックのうちの1つです。


これは、数年前にベストに選んだBeastie Boysの「The Mix-Up」のような、肩の力の抜けたゆるいインスト・ファンク・アルバムで結構好きです。
ラテンなフレーバーが渋い。古臭い音、それがまた渋い。
最近、トミーさんってサーフ系の音に括られてるっぽいですけどちょっと違う気がしますね。
肩の力の抜け具合が共通してるのかもしれませんが。
こういう音は時の流れに耐えるというか、流行に左右される音ではないと思うので(もちろんただ古臭い音なだけじゃなく、新しい音のエッセンスも入ってると思いますが)いつまでも聴ける音ですよね。
お薦め。


次々点として後は、John Fruscianteの「The Empyrean」。
レッチリの「Californication」以降の新境地、枯れた味わいの音の中核を担っていたのが彼だということがはっきりとわかる素晴らしいソロ作。ソロはこれしか聴いたことないんですが、過去のソロ作の中でも一番の評価みたいですね。
ソロということでギター一辺倒のアルバムかと言えばそうでもなく他の楽器もちゃんと主張してて調和が取れており、ボーカル含め一曲一曲のクオリティが異様に高い。
本当に、「あ、この人レッチリの一員じゃなくてソロとして歩む方が興味あるかも」て初めて聴いたときに思ったんですが、まさか本当に脱退してしまうとは・・・
音は枯れてるんだけど溢れ出る感情が滲み出てくる、乾いていながら瑞々しい音が詰まった作品。
ただ、彼の魂(ソウル)がひしひしと伝わってきてサラッとBGMとして聴けるアルバムではないです。ちょっと聴くためには気分とかを構える必要があるかなぁって思ったんで次々点。もっと聴きこむともっとずっと嵌るかも。

Animal Collectiveの「Merriweather Post Pavilion」も素晴らかった。素晴らしかったんですがあまりに躁状態のテンションのような音が続くので、聴ける時と聴けない時がはっきりしてて次点までに至らず。でも好きですよ。
Beach Boysの「Pet Sounds」を電子的に行った感じ。
これがサイケかぁって、フジロックでライヴを体感した時に思いました。
彼らの世界観に気持ちが入ってしまうと、本っっっ当に気持ちが良い音。
危険なドラッグ・サウンドです。
ちなみにフジではベロベロに酒に酔ってたんで、マジでトリップ寸前でしたです。


他には、Franz Ferdiandの「Tonight」は過去のFranz作品の中で一番好きです。地味ですが、円熟味を増した充実作だと思います。