ベストに届かなかった者どもPt.5

  • ⑤ The Streets / A Grand Don't Come For Free

A Grand Don't Come for Free
クラシック風の壮大なストリングスや流麗なピアノで奏でるマイナー調のメロディに、淡々と語りかけるような訛の強いラップとその裏で変則的に打ちこまれるビート。前作の1、2曲目で見せたあの雰囲気が、僕がThe Streetsに求めた音でした。なので、結論から言うと今作はちょっと肩透かしをくらった感じ。や、あるんですよたくさん、ストリングスやピアノが綺麗な曲。でも僕の求めている音と少し違うんですよ。でも、そういうストリングスやピアノの曲はホントはっとさせられるほど美しいですね。「Dry Your Eyes」とか。
今作で驚くべきはその内容の充実っぷり。バラエティに富みすぎ。それでいて一つのコンセプト・アルバムとなっているという。「Fit But You Know It」とかびっくりですよ、ギター鳴らしてるやんアンタ!みたいな。これだけ曲の色が様々だとアルバム通して飽きないわけで、やっぱラップ・アルバムとして全編すんなりと聴き通せるってのは素晴らしいことだと思います。
ただ、個人的にやっぱりこれだ!という曲が前作と違い見つからなかった。前作の「Turn The Page」や「Has It Come To This?」のような曲がね。アルバムの完成度は比類なきものだけに、惜しいなぁ。全体的に曲のクオリティが向上した代わりに飛びぬけた曲もなくなったような。